診断メーカー「2人きりになり、相手が突然静かになったので訝しんでいると、急に意を決したように肩を抱かれ、聞いた事のない優しい声で愛の告白をされて、思わず素直になってしまうちはやのコウヒロ」を都合のいいところだけ。和解の少し後のコウ←ヒロ
—
リンクを滑る四枚の刃の音はぴったりと重なってまるでひとつのそういう音のようだ。
それは掛け声と同時に途切れ、代わりに風を切る音が鼓膜を震わせる。新しいデュオジャンプ。練習場いっぱいに広がる煌めきが世界を輝かせて視界を埋め尽くした。
ジャンプの練習だから音楽はかけていないが、コウジの歌は頭の中に響いている。
着地した足裏にかかる力を最低限に抑えると、ブレードはゆっくりと減速した。リンクに大きな弧を描くようにしてコウジの前でぴたりと止まる。
ヒロとシンメトリーの弧を描いて滑ってきたコウジがやはりヒロの目の前で止まった。大技の余韻でまだ少し呼吸が荒く、肩が上下している。見開かれた瞳も赤く染まった頬も、興奮しているのだということを恥ずかしくなるくらいに伝えてきた。
それはヒロも一緒なのだけれど。
「コウジ、」
よかった。ジャンプが決まって。またデュオショーをすることができて。いろんなことがあったけれど、和解できて。こんなふうにふたり同じ生き物みたいに息を揃えたプリズムショーは、きっと他のひととはできない。よかった。
伝えたいことはたくさんあった、けれどひとつも声にできなかった。コウジの目が正面であまりにもまっすぐにヒロを映すから。
コウジはヒロを見つめたまま、両手でヒロの両肩を掴んだ。ヒロよりも大きな手のひらの熱が練習着越しに伝わる。強い力ではないのに、振り払える気がしなかった。
「な、なに?」
伺うような態度になってしまったヒロをよそに、コウジはまだ至近距離でヒロを見ている。そんなに見られると穴が開く、と言いそうになった頃、コウジは不意にふわりと目を細めた。
「ヒロのこと好きだなぁと思って」
歌うような声だった。
歌はコウジにとって特別なものだし、コウジの歌はヒロにとって特別だ。自分たちがそうなりたくてそうなったわけではなく、最初から逃れようもなくそうあったのだ。
「……俺も」
やっと絞り出せたのはそれだけだ。
たった三文字を音にしただけなのに喉がひりつくような思いがした。好きという言葉の意味を思う。彼の選んだ少女のことを思う。
好意を受け止めるのは得意なはずだ。そういう姿で人前に立つ仕事をしているのだから。
だからこのコウジの「好き」もいつものように飲み込める。挨拶のように。数学の方程式のように。テーブルマナーのように。台本のせりふのように。
そうでなくてはいけない。
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