覚悟の決まってない土方と覚悟の決まりきっている沖田
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好きだと告げて了承されたそれは明確な契約関係で、異論の余地などないはずだった。
「総司」
しなだれかかって顔を寄せた沖田の肩を、土方は必要以上の力を込めて掴んだ。はっきりと拒絶の伝わる所作に沖田はそれ以上の接近を諦め、代わりに細めた視線をまっすぐに向けて土方を捕らえる。
「好きだって言ったのは、こういう意味だってわかってたでしょう?」
土方は答えない。すくなくとも、言葉では。
その態度が沖田に焦燥を呼び起こし、苛立たせる。沖田が彼に好きだと告げたのははっきりと肉欲を含んだ意味であったし、そうでなければ今更が過ぎる言葉だった。
沖田が土方に好意を寄せていることなどずっと前から自明の理で、それは土方もわかっているはずのことだ。好きでもない相手にわざわざ自分から絡みに行くことなどない。幼い頃からそばで見ていた土方が一番知っているはずだった。
だから、わかりきっていることを改めて伝えたのは、そういう意味でしかない。
「どうして抱いてくれないんですか。僕じゃ勃ちませんか?」
自嘲を込めて直截な言い回しをわざと選ぶと、肩を掴んだままの手がぴくりと反応した。
ふかい藍色の瞳がそろりと伺うように沖田へ向けられ、視線が合った瞬間にぱっと逸らされる。彼が動揺をこんなふうに表に出すのは珍しく、そんな様子を自分が引き出しているのだと思うと後ろ暗い歓びが生まれる。
けれど結局のところその反応自体は土方が沖田をそういう意味で相手してはいないことの表れでしかない。沖田ははっきりと意志を告げたし、土方もそれを了承したのに、いざ距離を詰めると途端に壁を作られるようなやり方は到底面白いものではなかった。
煮え切らない態度に肚の底の獣が唸る。ずっとずっと飼い続けていたそれは、土方に食べられることを望んでいる。
あるいは。
「――ああ」
わざと視線を合わせない土方の顎を掴んで、強引にこちらへ向けさせた。まるで見たことのない他人を見るような目をしている。ずっとそばにいたのにあんまりな反応だ。
す、と自分の顔から笑みが消えたのがわかった。気配に反応した土方の喉が鳴る。
「それとも、僕が入れるほうがいい?」
息をのんだ土方の唇を無理矢理に塞ぐ。
舌を捩じ込みながら、このまま窒息してしまえばいいのに、と思った。
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