「あ───」
「何だよ」
「雨や」
「───え?」
「マジかよ───」
「結構降っとるなあ。気付かんかってん」
「テメエはボリューム上げ過ぎなんだよ」
「やって映画やもん。音上げなつまらんやろ?」
「───そうだけど」
「第一跡部が観たい云うたんやんか」
「───」
「ビデオまで持って来て。自分ちでDVD観れるやろ」
「───いいだろ、別に」
「まあ、俺は構へんけどな」
「じゃあ黙ってろ」
「そういう物の云い方が、あかんのやって解っとる?」
「はぁ?」
「───ええわ、もう。傘は?」
「無ぇ」
「なら貸したるわ。送ってったりたいけど、二本は無いし───」
「───いい」
「ほんま? 堪忍なぁ」
「違う」
「え?」
「傘。要らねえ」
「───え? 何で?」
「面倒臭え」
「面倒って跡部───」
「煩ぇ。今日はもう、いい」
「跡部」
「ベッド、半分貸せ」
「跡部」
「───」
「アトベー」
「───んだよ」
「雨、止みそうにないな」
「見りゃ判る」
「明日は部活ナシ?」
「───さあな」
「適当な部長さんやなあ。それでええのん?」
「文句あんのか?」
「あらへんよそんな、命知らずな」
「───」
「黙らんといて」
「ああ───全く」
蒸し暑くて敵わない。
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