人工知能は幼馴染の夢を見せるか?

 とぷとぷ、とグラスにワインを注ぐ。うまくやったつもりでもボトルの口から少し垂れてしまって、仕方なくティッシュで拭った。ずっと注がせてばかりいたから、この歳になってもワインを注ぐのが上手くない。
 でも、幼馴染がワインをスマートに注ぐ姿が好きだったから、それでいい。
「なあ、カーラ」
『ご用でしょうか』
「俺が死んだらあの馬鹿と一緒にいてやってくれるか」
『……それがマスターの希望であれば』
「ありがとう。きっとあいつも悪いようにはしない」
『ジョーが死んだあと、私はどうなりますか』
「心配するな、あいつが死んだらイニシャライズしてシャットダウンだ。他の人間の生体認証は通らない」
『ありがとうございます』
「カーラ、俺のために作ったせいで俺に似たな? そんなつもりはなかったんだが」
『いいえマスター。あなたのAIでいられて私は幸せです』
「ふふ、そうか、幸せがわかるか」
『はい。あなたに似ましたから』

その後の話 『クレイジーあの世ロックで逢いましょう』

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