中等部 出会ったころ
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目の前の男に恋をしている、と気づいてしまった。
気づいてしまえばまるで簡単に単純に、世界の中で彼だけが輝いて見えた。同じ制服を着て同じ校舎の中にいるのに、ヒロだけは特別だった。
「コウジ!」
はにかむように笑って僕を呼ぶ声は鈴が鳴るようだ。
僕はヒロにどうしようもなく惹かれている。恋をしているのだと考えれば納得がいった。
ヒロがきらきらと煌めいて見えるのも、一緒にいたいと思うのも、僕の歌でプリズムショーをしてほしいと思うのも、どれも全部、恋のせいだ。十二年生きている中でこんな気持ちになったのは初めてで、そうかこれが初恋なんだと照れくさく感じながら認識する。
初恋は叶わない、と誰かが言った。叶えようとも思わない。ただこの気持ちが僕の中にあることが、そしてヒロがそばにいることがたまらなく幸福で、今ならなんだってできそうな気がした。
ヒロがプリズムショーをするところを思い浮かべながら歌を創る。こんな快感があったのかと驚いた。ヒロと出会う前から自分が作曲をしていたことにこの時初めて感謝した。
「どうかな?」
ヒロを想って創った歌に自分で仮歌をのせた。アレンジも完璧ではなくまだラフの歌だけど、早く聴いてほしくて、録音したものを聴いてもらう。
告白の返事をもらうような気持ちでヒロの返事を待った。彼が聴き終わるのを待つ間に、がっかりされたらどうしよう、と不安が頭をもたげる。そんなことになってしまったら、どうすればいいのかわからない。
ヒロはイヤホンを外しながらむずむすと表情を緩め、亜麻色の瞳から光を溢れさせた。
「すごくいいよ! コウジを選んだ俺の目は間違っていなかった!」
まるで叶わないはずの初恋が実ったようで、天にも昇る心地がした。
それが恋なんていう可愛らしいものではなかったことに気づくのは、二年後のことだ。
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