一種の歩み寄り
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古泉はどんどん図々しくなっていく、と、思う。
「心外ですね。これでもSOS団の中で一番謙虚に振る舞っているつもりなのですが」
どこがだ。イエスマンと謙虚を一緒にするな。長門と朝比奈さんの方が断然素直で好感が持てる。ついでに俺だってほどほどに謙虚のつもりだ。
「そうですか? いえ、長門さんと朝比奈さんについては僕も同意見ですが、僕とあなたに関しては、」
そこで珍しく、演説野郎の口が止まった。不審に思って顔を見やると、俺の視線に気づいた古泉が俺より背があるくせに上目遣いで見つめかえしてくる。間。なんなんだ、気色悪い。
「あなたから見て僕が図々しいとおっしゃるのならそうなのかもしれませんが、できるならそれを好意ととっていただけると、僕としてはありがたいのですがね」
へらりと笑って手駒を動かす。オセロをやっていた頃は、こんなあけすけな笑い方はしなかった。
「どうぞ。あなたの番です」
憎たらしい。
はあ、と溜息をついて、黒いポーンに手をかけた。
(実は仲いい11のお題01 憎たらしい笑顔)
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