070707

二年目の七夕

どうしました、溜息をついて。
いや――今日はいろいろあったからな。去年と三……四年前の今日だが。
存じ上げていますよ。僕もご一緒させてくださればよかったのに。
ふざけろ。そんなことをしたら未来が変わっちまうだろうが。
ですから僕は影から見ているだけです。四年前のあなたが、去年のあなたを知らないように。
屁理屈だな。だいたいその七月七日はもう過ぎたことだ。
ええ、ですからifの話です。
『機関』お得意のな。
そうですね、我々は常にシミュレーションを前提に動いていますから。
そりゃご苦労なことで。で、お前は今年もそれなのか。
おや、覚えておいでですか。光栄ですね。
俺にはとても思いつかん四字熟語だからな。
これが一番、すべてを内包できるのですよ。世界全体が平和で、なおかつ自分に近い領域も安全であれば、二重の意味で安心です。平和や安全の定義をどう措くかは――まあ、個々人によりますがね。そういうあなたこそ、去年とそう変わらないじゃないですか。あれだけたくさんの出来事を体験したというのに。
まあ、そうだな。来年も同じことやってんだろうな。
――ふふ。
何だよ。
変わりましたよ、あなたも。僕が保証します。
お前に保証されても嬉しくないな。
そういうところは、そのままでいてくださいね。

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