リバ(までいってない)
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ベッドにうつ伏せに寝転んで雑誌を眺めていた真琴の臀部を、遙の指先がそろりと撫ぜた。不意打ちの挙動に真琴が振り返ると、普段より温度の高い瞳にぶつかる。いわゆるスイッチが入った状態、のようで、かつてのそれとは何かが違った。
「なあ、挿れてる時って、どんな感じなんだ?」
茶化す口調では決してない。興味と好奇心が発熱しているようだった。いつもは水だとか鯖だとかにばかり向けられている遙のそれが、真琴の、奥のほうに注がれている。
「ハル……?」
恐る恐る名前を呼ぶ。本当は、続く言葉はわかっていた。察しが悪いと無下にされることもあるが、基本的には遙の考えていることは感じ取れる。そして長い付き合いの中で、遙のこの瞳が標的から外れないことを知っている。
「俺も、真琴に挿れたい」
ぎし、と遙がベッドに乗り上げた音が、静かな部屋に大きく響いた、ように聞こえた。
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